2021-10-27(絵の思索①)

 

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・絵は線画、ポージング、構図、塗りなど、幾つかの要素に分解できて、それぞれの要素で点数を付けることができる
これは評価軸を少数に絞ったときに限る。たとえばリアリズム絵画やキュビズムの評価軸は含まない。SNS上のイラスト評価軸のみを勘案する

*それぞれの要素は、さらに細かく分けることができるだろう。たとえば、線画におけるペン選び、線の入りと抜きなど。ここでは、大雑把に分けたものについて考えるつもり。

**狙うべき評価軸を絞ることは、作り手側にとっては重要なテクニックだろう。
これは予想だが(そして脱線だが)、すべての価値観に対して平均的な絵は、ひどく平凡にみえるはずだ(ものすごくぼんやりとした絵になる)。これは機械学習によって描くことができるかもしれないし、まさにそのことによって「芸術的に」評価されうるが、とりあえず今回の思索の対象ではない。

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・いわゆる「普通に流通する絵」はアニメーターや漫画の分業のように、構造化することができる
「ある要素」に特化した職人のようなものを育成することもできる(アニメーターでいう動検など)

・ある1枚の絵を完成させる1人のイラストレーターは、複数の職人から成り立っていると言うこともできる。だからこそ「この人、ものすごい良い構図描くけど、塗り下手過ぎん?」ということが起きる

*スポーツの比喩で言えば「トライアスロン」「近代五種」「400m個人メドレー」「十種競技」などと類比できる。同じ水泳であれ、50m自由形と400m個人メドレーでは要求される能力や蓄積が異なり過ぎている。
イラストレーターの難しさは総合力にあるのかも知れない。本来は分業するほど専門的で、複雑な要素を(多くの場合)ひとりでこなす能力。

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・ある要素で点数を上げていくことは、決して難しいことではない。ただこの「難しい」は、全体性や天才性を加味した言い方であって(凡人ができうるという意味であって)、誰しもできるという意味ではない

・これは、数学が得意な人物が「数学は積み上げ科目なので簡単ですよ」と言うのと似ている

*これが今回の思索の根幹である。あるセグメントを順番に極めることで、絵が上手くなるのではないか、という仮説。まあ、凡庸と言えば凡庸な思想といえる。

**個人的な優先順位としては、ポージング・シチュエーション・キャラクターデザインなどから手を付けたい。

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・さて、いわゆる芸術に属する絵は、いわゆる普通の絵と違いがたくさんあるが、僕が思うに、しばしば珍しい/新しい価値観を示す必要がある、という部分に違いがあるように思える
芸術を構成する(構成を仮定して)価値観は複雑であり、点数が一定しない

SNSで流通する絵は、昔よりも価値観が増えたように見えるが、平均点(平均曲線/曲面)は見えやすくなったように思える

・というか、複数の価値観の平均をとる、という考え方ができるようになったのでは、と思う

*ここら辺は普通に脱線してるので触れないが、重要な観点ではある。
特に、芸術的な絵には描き手の実存が掛かっていたりもするので、扱いが難しい。そもそも点数を付けるとか、評価をされるという思想と分が悪いようにも思える。この手のものについては、また今度考えたい。